ふたり / 小手鞠るい

小手鞠るいさんの本がとにかく好きで、図書館に行ってはジャケット借りしています。

欲張って何冊も借りたくなるのを堪え、毎度1冊ずつ、丁寧に読んでます。

今回は ふたり という本から、中身を少しだけ。

ジャズが本にたくさん出てきているので、お勉強になります!巻末にまとめてくださっていたので、気になったものから聴いてみようと思います。




人が望むものを演奏してはいけない。自分の思い通りに演奏し、彼らにそれを理解させるんだ。たとえ十五年、二十年かかることがわかっていたとしても、だ


結局のところ人は、他人の心のなかを覗き見ることはできない。どんなに愛し合っているように見えるふたりでも、結局は、ひとりひとり。だから、相手が心の中で誰のことを思っていようと、自分なりのやり方で、その人を愛することしかできない、つまり、愛とはつねに「一方通行」であるのかもしれないな。言ってしまえば、愛とはつねにひとりの人の、その人だけの「秘密」なのかもしれない。
一方通行じゃなくて、両方からやってくる。音楽は、いや、音楽だけじゃなくて、この世で起こる出来事はすべて、生者と死者の「共演」なのかもしれないね。死者が生者を支えてくれている。見守ってくれている。死者のベースに導かれて、生者のアルトサックスが目を覚ます。釣られて死者も起き上がる。走り出す。ピアノもドラムも「生きているよ」と、歌い出す。互いに互いを生かし合っている。まさに、この世はジャズそのものだね。生きている者が死者の存在を孕むことによって、死んだ人も「生きている」ってことなんだよね。